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情報法制研究
(記載日:令和2年6月15日) 担当 弁護士 小坂谷聡
という論文(共著)が情報法制研究 第7号(2020年5月)に掲載されました。
2017年(平成29年)5月に情報法制学会で実施されたパネルディスカッションにパネラーの1人として参加した時の議論をまとめたものです。
他人が設置したWEP方式の無線LANアクセスポインに無断で接続したと行為が、電波法109条1項の「無線通信の秘密」を侵害するかが争われた事案において、東京地判平成29年4月27日が無罪判決を出しました(確定)。本論文は、この判決を参考に、電波法における通信の秘密を中心に展開し、さらに、電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)、不正アクセス禁止法、及び私電磁的記録不正作出及び共用罪(刑法161条の2)の適用の可否にまで検討の範囲を広げて、果たして無線LANへの無断アクセス行為(ただ乗り行為)が犯罪を構成するのか等について検討したものです。
財産管理・後見
(記載日:令和2年4月24日) 担当 行政書士 小坂谷麻子
さて、今年のはじめには予想もしなかった状態になっております。毎日新型コロナのニュースを見ていると不安に押しつぶされそうになりますが、一方で、医療従事者の方をはじめ、飲食店や、各企業や一人一人が自分に何ができるのか、何をすべきか考えて工夫している姿に励まされたりもします。
本日は、そのような中ではありますが、今後、私の方で取り組んでいきたい成年後見の分野についてのご案内をしたいと思います。
なお、現在、新型コロナの影響で、高齢者施設への面会制限がございます。また、成年後見申立業務についても、高齢者の方への面会調査等が困難な状況であるため、緊急性を要する申立以外は、ストップしてしまっている状況ではあります。そのため、通常のように、すぐに面会におもむきお話をお伺いすることは難しい状況ではありますが、制度についてのご案内をしたり、準備できることを進めておくことは可能です。
【新サービス開始のご案内】
これまで、法律事務所の方で、成年後見等の業務のご相談をうけたまわってきておりましたが、この度、新たに、私が関わる形で次の取り組みを始めることにいたしました。
❶弁護士と行政書士での任意後見複数受任
従来弁護士から弁護士が単独で受任をしておりましたが、弁護士と行政書士で複数受任する形で任意後見人のご相談をお受けすることにいたしました。これにより、費用等は従来の費用を目安のまま、機動力を高め、また、業務の内容によって弁護士が対応したり、行政書士が対応するといった柔軟な対応が可能となります。
また、万が一、1人の任意後見人が病気等で業務を行うことができない状況になった場合でも、他方の任意後見人が必要な手続きを進めることが可能となります。
❷「見守り契約」の開始 :月額3,000円(税抜)〜
従来弁護士が行なっていた財産管理契約、任意後見契約、死後の委任事務契約に加えて、行政書士による見守り契約もスタートいたします。これにより、ご本人の状態やご希望を踏まえて段階的に必要なサポートを行うことが可能になるかと思います。また、必要に応じて、次の段階へスムーズに引き継ぐことも可能となります。
なお、通常は訪問等をする必要がございますので、当面大阪府内に限定をさせていただく予定です。ただし、現在、新型コロナの影響で、訪問等は自粛する必要がございます。今後の展望は現時点では不明ですが、オンライン面談等も積極的に取り入れていきたいと考えております。オンライン面談については、別の機会にとりあげたいと思います。
【現在法律事務所にて行なっているサービスについて】
ご本人の財産管理から相続人へのスムーズな財産承継に関して、法律事務所では、以下のサービスを行なっております。
①財産管理契約 :基本月額 弁護士30,000円(税抜)〜
認知能力に問題はなくても、外出等が困難だったりして、銀行等での記帳や財産管理に伴う諸手続き等をご自身で行うことが難しい場合に、財産管理契約を締結することが可能です。基本的には管理の方法なども含めて、ご相談をしながら進める形になります。
基本料金は、月額30000円とさせていただいておりますが、基本的にはご本人が管理をなさり、必要に応じてのみサポートを行うなど、いろいろな形が想定されますので、報酬等についても作業量等に応じて柔軟に対応させていただきます。
②任意後見契約 :契約書作成手数料100,000円(税抜)〜、公証役場費用等実費別途
認知能力に問題はない状態で、将来必要になった時のために、あらかじめ任意後見契約を締結しておくことが可能です。公正証書で作成をします。ご自身で後見業務を託す人(後見契約受任者)を決めることができます。
任意後見人に就任した場合の任意後見人に対して支払う報酬もあらかじめご自身と後見契約受任者との間で決めることができます。
特徴としましては、実際に認知症等が発症して後見業務が必要となった場合に、ご本人、配偶者、4親等内に親族に加えて、後見契約受任者は、裁判所に対して後見監督人選任の申立を行い、後見監督人が選任されてから、任意後見業務を行うことが可能となることです。そのため、適正な業務遂行がなされているかのチェックを期待できるかわりに、別途後見監督人に対する報酬も発生いたします。
③死後の委任事務 :契約書作成手数料100,000円(税抜)〜
認知能力に問題はない状態で、ご自身の死後に必要なお手続きを受任する内容です。相続人がいない場合等、火葬・葬儀等の手配、賃貸借契約書等の解約手続き等、必要となる手続きをあらかじめ定めておきます。
契約書作成手数料については、任意後見契約等とあわせて作成する場合には、お値引きさせていただきます。また、死後の委任事務を行う際の報酬についても、必要な事務手続きを確認した上で、報酬等のご相談をして決めることが可能となります。
④成年後見等開始の審判申立 :申立書作成手数料150,000円(税抜)〜、裁判所予納金等実費別途
成年後見に申立がすでに必要な状態の場合には、ご本人、配偶者、4親等内の親族は、裁判所に対して後見開始等の審判を申立することが可能です。
弁護士が申立代理人として必要な書類等の収集作成をして申立をすることが可能です。なお、その場合に、ご親族の方を成年後見人として希望されることも、申立代理人である弁護士を候補者として推薦することも可能です。ただし、他の親族等の意見も含めて裁判所が成年後見人を選任するため、全く別の弁護士等専門職成年後見人が選任されるケースもございます。
⑤遺言書作成・遺言執行業務 :遺言書作成手数料100,000円(税抜)〜、公証役場費用別途
ご自身の死後に、相続人間で争いが起こったら・・・・そんな心配をお持ちの方もおります。あらかじめ、ご自身の希望にそって、遺言書を作成しておくことにより、ご自身の考えを相続人の伝えることが可能となり、遺産分割がスムーズに進むこともあります。
また、遺言書の内容に従って、相続財産を換価・分割する遺言執行者をあらかじめ遺言書に指定しておくことも可能です。
⑥相続・遺産分割業務
遺言書の有無に関わらず、被相続人の方がお亡くなりになった後の相続・遺産分割業務を法律事務所で受任しております。相続人代理人として、相続人調査を行い、他の相続人と遺産分割協議を行い、相続手続きを進めます。もし、協議が整わない場合は、調停・審判を利用して遺産分割を行なったり、相続財産の範囲に争いがある時は、訴訟提起したりすることが可能です。
着手金等の金額につきましては、事案によりますので、ご相談いただければと思います。
⑦相続放棄申述 :申述べ書作成手数料 100,000円(税抜)〜
相続財産より負債が多い場合は、被相続人が死亡したことを知った日から3ヶ月以内に相続放棄の手続きをとることができます。この手続きをとる場合は、債務の弁済をしたり、相続財産の受領をしてしまうと単純相続したとみなされ、相続放棄をできなくなります。相続放棄をご検討の場合は、できるだけ早くご相談いただけると注意事項等のご案内が可能です。
なお、遺産や負債等の調査に時間を要して、相続放棄をするかどうかを3ヶ月以内に判断することが難しい場合は、3ヶ月が経過する前なら期間を延長する手続きをとることも可能です。
情報処理学会 DICOMO2017
(記載日)平成29年7月3日 (担当)弁護士 小坂谷聡
2017年6月28日(水)から30日(金)までの3日間、札幌・定山渓で開催された情報処理学会・マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2017)シンポジウムに参加し、「刑事手続におけるデジタル証拠の改ざん防止措置について」と題した論文についての研究発表を行いました。
このDICOMOというのは、主に情報科学関連の分野の研究者・学生等が参加するいわゆる理系の学会です。去年の4月から立命館大学大学院博士後期課程に進学し、デジタルフォレンジックや情報セキュリティ関係について研究を始め1年が経っているとは言え、何分にも文系法学部出身の弁護士にとっては、簡単に攻略できるような代物ではありませんでした!
ところで、近年、裁判実務においても画像や音声データなどデジタル証拠の重要性が増していますが、デジタル証拠というものは改ざん・改変が容易でありながら、一般的にその信頼性は高く、一旦改ざんされてしまえば誤判を招きかねない危険な証拠でもあります。今回の研究発表は、このデジタル証拠の改ざんを防止するという点に焦点を当てたものです。具体的には、まず、改ざんが如何に容易にできるかという点について被験者による実証実験を行い、また、デジタル証拠が裁判実務においてどのように扱われているかを概観した上で、改ざん防止の観点から、デジタル証拠の改ざんの有無を客観的に確認できるシステムとして、ハッシュ値保存システムの構築について考察を加えました。
今回の研究は、システムについての提案についてのみであって実装にまでは至っておりませんが、今後、さらに研究を発展させていきたいと考えています。
情報処理安全確保支援士
(記載日)平成29年5月1日 (担当)弁護士小坂谷
制度がはじまってから、もう1ヶ月もたってしまいました。実は、今年の4月1日から、情報処理安全確保支援士という国家資格がスタートしております。
わかりにくですが、通称名は、登録セキュリティスペシャリスト、略称は、登録セキスペというと、何となくイメージがつかみやすいのではないでしょうか。
サイバー攻撃の急激な増加により、企業などではサイバーセキュリティ対策の重要性はますます高まっております。にもかかわらず、その対策を担う実践的な人材が不足している中で、サイバーセキュリティの分野で国内初の国家資格としてこの資格ができました。一言で言えば、サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの開発や運営を支援することを目的としています。
私は技術者ではありませんが、セキュリティのトラブル、被害、損害賠償、刑事事件等、民事・刑事とわず、これからの弁護士にも必要なスキルと考え、平成29年4月1日付けで登録をいたしました。まだまだ、勉強しなければならないことだらけですが、少しでも皆様のお役に立てればと考えております。